産地会議


産地会議には2つある。一つは出荷大会、反省会など、生産者を集め農協が主催し、
経済連と荷受会社の代表が所見を述べるもの。
もう一つは商売の連絡会で、そこには生産者は居らず、農協、経済連、荷受会社の担当が
打合わせるものである。
前者はそれなりに意義があるが、発言の機会を与えられずにただ出席するだけの荷受会社も有り、
時間と交通費があまりにもムダのように思える場合がある。
こんなことを言うのは、あの国土の広いアメリカでさえ交通費は日本の4分の1、
ドイツに至っては8分の1以下であるからだ。
いずれも一国の統計であるから平均値には相違ないが、
卸にムダはもう許されなくなってきている。是非とも合理的な運営が望まれる。
2つめの打合せ会は、具体的な商売の取り組みを検討する会議に変更する必要がある。
社員のレポートをEメールで読むと、せっかく行ったんだからもう少し突っ込んで
話す機会を持てればいいのにと思うことがしばしばである。
その時大切なのは反省会で、本年のみならず来年度の取組体制を確約することである。
来年はこのような形で作付けて、月間前年対比〇〇%だから日量〇〇ケース、
おおよその価格見通しを踏まえ、それぞれの取扱金額の予算を立て、
もちろん物日の特需の予定も立て、物流上の問題もクリアするというものだ。
今まで荷受会社はまさに“荷受”会社で生きてこられた。産地が選定し、
プロダクトアウトで出来たものを出荷、荷受会社がそれを受けて販売する。
絶対量が不足していた時にはこれでお互い食べていけた。
しかし、消費者にイニシアチブが移り需給の均衡が崩れ、ややもすると過剰基調の中、
荷受会社は名実共に“卸売”会社へと変身しなければ生きていけなくなってきた。
よって産地との取り組みは、具体的なものでなければならなくなっている。
これを打合せ会で実現するのである。このことにより産地は売場を確保し、
卸売会社は売る責任を持つことになる。
セレモニーは大切なものであるが、実をとる会議こそ欠かせなくなってきている。



1996/10/14 磯村信夫