企業活力は資金調達力による


先週、京都で日本花き卸売市場協会の理事会が開催された。
各理事の目が輝いていた話題は2つ。1つはオークネット殿等のインターネット上の取引についての話題−「人は足りない方が良い」とは渡辺淳一氏の名言。今日のように忙しく情報過多の時代こそ、愚直な生き方の方が良いのではないか。また、これしか出来ないということであろう。−と、資金の流れ(売掛金の回収と、買掛金の支払)についてであった。
来年は公定歩合が1%台に乗る可能性が強く、例え痛みを伴ってもサッチャー政権時代にシティーで起こったビッグバン(金融の徹底的な規制緩和)を起こそうとする動きから、資金調達力において企業間格差は益々広がってくる。
近頃大田花きで新規買参人の与信能力調査を見ていると、残念ながら取扱金額が年々小粒になり、担保与信力が低下してきている。
こうなると、大手の中で既にキャッシュフローの整っているところは今後とも伸びて行く可能性が高いが、中小の3割程度はキャッシュフローが思わしくなく、残念ながら淘汰されていく可能性が高い。
市場協会理事会の中で、顧客である小売店の支払能力が近年著しく落ちてきた、と理事達は異口同音に言っているが、卸売会社が一同に締め付けを行うと、経営が立ち行かなくなる小売店が多数出ると予想される。
このような環境の中で、東京都中央卸売市場花き部でも、仕入日から起算し60日を越える不良買掛金(その買参人)に対し、売買参加の差止めを1月から行うことになった。
本年度は諸般の事情を考慮し、60日と長期に渡るが、来年度からは徐々にその期間を詰め、荷受会社の送金先である産地へ早めに支払える体制を取りたいと思っている。
日本は固より、我々花き業界は特にキャッシュに対し真剣にその重要性を省みなかったのだが、ようやく花き産業も資金力と人財が物を言う時代になってきた。


1996/11/25 磯村信夫