「輸入品」ではなく、「海外産地の生産物」と捉えるべき


株式市場で「日本売り」が起こり、株価が下がっている。
直接の原因は、日本社会の構造改革が問題を先送りして進んでいないと海外の投資家が判断、日本の投資家もそう感じているところにある。
しかしもっと根底には、日本の持つ同質性(悪く言えば出る杭は叩かれる)に問題がある。ここまで日本は豊かになったので、この豊かさを維持する為には世界的なレベルで創造性が無くてはならない。また、国際社会の中で生きて行く為には、恵まれない国の人々に仕事を教え、日本の富を分配する配慮を持つ必要がある。
花について言えば、オランダ、タイ、オーストラリア、コロンビア、インドなど、キク、バラ、カーネーション、ラン、ネイティブフラワーなどを作る海外の生産者と、輸入商を通して緊密に連絡を取り、育成を計って行くことを意味する。
ドイツでは、オランダからの切花の輸入攻勢で花鉢に転向した生産者が多かった。ニースではモロッコ、アルジェリアからカーネーション、バラの輸入を促しながらも、生産者は地元市場でのマーケットシェアを確保し、小売店で原産地名を明記させている。このことによって消費者に選択の幅を持たせているのである。
一方、日本の花き市場はどうであろう。輸入切花を扱っている2つの団体から「支払が遅い、どうにかならないか」という悩みをしばしば聞くのだが、このことが示すとおり、消費者の意識とはかなり乖離し、輸入品品質性悪説のようなところもまだ多い。
円が安くなり、運賃が上がって切花単価は逆に下がっている昨今、輸入商社の人達に充分活躍してもらうべく今APEC内で起こっている花き生産を成功させる為にも、日本の花き市場は海外産地を支援しなければならない。


1997/01/13 磯村信夫