卸売市場代表(青果・水産卸とその仲卸)とチェーンストア協会との話合い


市場外流通がかなりのシェアを占め、ここのところ輸入品まで含め卸売市場の再度活性化が叫ばれている。
魚類は、塩干物を除いて取れてみなければ判らないので難しい点は多々あるが、作った物を出荷する青果物は常識から考えれば可能である。
今チェーンストア協会の中でもGMSは衣料品の伸び悩みにあえいでいる。世の中が落ち着き、流行に捕われず、長く着られる物を買おうとする消費形態に移ってきたのと、流行を取り入れながらもあまり量的に出ていないブランド品を好む傾向になってきた。
そうなると自ずとスーパーマーケットの衣料品は売れなくなり、欧米と同様専門店が衣料品の分野では再度注目を集める。イギリスのマークス&スペンサーがアイビー・ファッションのシンボルであったブルックス・ブラザースを10年ほど前買収したのは、そんな消費行動がイギリスやアメリカで起こっていたからである。
GMSのことにもう少し触れると、ジャスコは経営多角化の中で衣料品においては専門店チャネルを持ち、マイカルグループはデパート化の道を歩んでいる。この2社は取扱高においても衣料品の落ち込みが少なく、売上も堅調に推移しているが、他のGMSは衣料品不信から生鮮食料品、そして花の売上を向上させる以外、当面の売上確保の道はないものと思われる。こういう矢先の卸売市場とチェーンストア協会の話であるから、共々意義がある。
会談の中で強調されるのは、お互い様という信頼関係の再構築と、情報ネットワークの問題である。特に情報化は生産者一人一人の出荷予測と、農協経済連の情報力、各産地の出荷情報を取りまとめる荷受会社の情報力が、今後益々効率的な取引につながり、そこから信頼関係が生まれてくるであろう。
産地は大型化しているものの、個々の生産現場の規模は今までとほとんど変わらない。生産者一人一人がプロのメーカーとして責任を持って情報発信することが取引の中で最も大切なことであるといえよう。


1997/02/10 磯村信夫