売るだけが取引所ではない


先週の台風は東京の盆に向け作付けられたホウヅキやらハス、ケイトウ、アスター、小菊などが若干傷んだが、地域によっては丁度良いお湿りとなってまずは一安心。あとは冷夏が気になるところである。
商況は遅れていた高冷地産が潤沢となって弱含み。特に一輪ギクの白が不安定相場となっている。各産地とも前年のデータのみが頭に入っているようで、去年良かった所には必ず量がまとまって出荷されやすくなり、今年の1、2月のように前年安かった所が高くなる。昔から言われてきたことだが、もう少し平準化出来ないものかと思う。平準化のポイントは、仕向先の卸と事前に反省会で来年の作付けについて充分協議することから始めなければならない。反省会はその意味で最も大切になっているはずであるが、現実は昔のままで進歩していないのは残念なことである。多少自慢めくが、大田花きでは反省会で来年の計画が話合われなかった場合、主たる取引先についてはシーズンオフの間、必ずお互いの来期への取引目標の話合いに望んでいる。種苗の関係から、一年以上も前からその話合いをしなければならない品目もあるが、そういうものでさえも提案していこうと考えている。
できたものを生産者に代わって一生懸命販売するのは卸売会社として当然のことだが、それだけでは卸の機能の半分しか果たせない。大切なのは主たる得意先まで巻き込んだ消費者に向けての商品提案計画を産地としっかり練っておくことである。当然のことだが、Plan-Do-See を確実に行い、儲かる仕組みを共々作っていく時代となっている。




1997/06/23 磯村信夫