色彩の傾向


野山の秋が早いのではないかと、盆休みを利用して多摩に散策に行った。
案の定、サワギキョウがもう出ていて、秋の早さを感じさせた。しかし、昨日大田市場の前の運河でハゼ釣りをしていたら、この時期にしては大分小ぶりであった。あとで聞いた話しだが、稚魚を放流しているとのこと。昔から比べてあまりにも小さいのでハゼ独特の引きが無く、物足りなかった。
さて、最近都会でも自然を楽しめるようになってきた。一方、都会のファッションはより先鋭的になってきている。アウトドアにあこがれる人達が多く、地球色がベースになっているのだが、全体の色調はかなりおさえたものとなってきている。例えば琥珀のデザインは、そのものを中心に周りは今まで金であったのが白金ないし銀色の素材を使う。男女ともスーツは深い色合いの物が多く、シャツ、ネクタイも濃い目のものが多い。
経済状況とファッションの色調を関連づけて語る人がよくいるが、今年の秋物のデザインを見る限り、色彩を押さえながら形をシャープにし、洗練された中にも強さを感じさせるものが多い。いうなれば、笑顔やニヤけた人に似合うデザインはカジュアルな服装で、コート、スーツは眉間にしわを寄せる、とまではいかないが、キリっとした心持ちが似合うようになっている。
花の色もフォーマルな場所で使われる品目は、ますます落ち着いた、やや暗い色合いが多くなっていくであろう。


1997/08/18 磯村信夫