情報が相場を安定させる


本日の切花入荷は2万ケースを超え、需給バランスを逸して安値となっている。
昨日富士見高原に作柄状況を見に行った。全て徒歩で見たから、かなり細かなところまで見ることが出来たと思う。本年の作柄は決して良くない。干ばつ気味で病虫害の発生も多いようだ。カーネーションはこの2週間多く需要に合っているが、キクは今週、秋の彼岸用に作付けたものが出荷されてしまう。こうなると誰も得をせず、生産者の労苦に報いることができないのは残念だ。
切花は物日があり、そして生産は天候に大きく左右される。消費も雨が降ったりすれば少なく、これもまた天気に左右される。この4月から天候に悩まされてきたが、9月の後半は供給が細くなり、相場が回復するものの、前半は安値のまま推移する、という風にツキの無い上半期が続いた。どのようにすればスムーズに流通させることができるか考えてみると、基本的には需要のあるときに出荷することだが、今年のような天気だとそれも致し方ない。そうなると出荷予告を正確に買参人に伝え、早めに仕込んでもらうか、それとも間際になって鮮度の良い物を高くても仕込んでもらうか、選択してもらう以外に方法はない。相場は心理的な要因が甚だ強く、ムードに流されないようにするには結局情報伝達とメリハリの聞いたセリ以外に方法はない。
今後、店頭販売向けの花が多くなるので、結局相場は以前よりも乱高下するようになる。理由として、消費者が店頭で買うということは基本的に衝動買いだから、お天気や懐具合によるところが大きいということ。となると、ますます正確な産地情報を流すことによって相場を一定のボックス圏内に留めておく努力を卸売会社はするべきであろう。


1997/09/08 磯村信夫