ハードワーク


台風の進路が気になるところである。
昨年もちょうどこの時期、台風による被害が出て、それまで低調だった切花の商況が一転して高値となった。今年も九州、中国地方に被害が出たため、9月初旬まで同地域の相場は大変高くなった。なにも安値を喜ぶわけではないが、その年供給が多く安くても、翌年同じ数量が出荷された時、決して前年のように安値にならず、まあまあの相場になっている。これは前年の安値がその時期の需要を拡大したとみるべきであろう。豊作貧乏という言葉はなにも農業のみならず、全ての市場経済に言えることだが、花の場合青果物と異なり、飾る場所が各所にあるためその時の安値は決して無駄だとは言えないのである。その意味からも今年の度重なる台風によって被害を受けられた生産者の皆さんにはお悔やみを申し上げたい。
話しは変わるが、ここのところ証券会社で会社説明会をすることが多い。とある証券会社の幹部の方と話しをしている時、新日鉄も土日、冷房をつけていると聞き、さもあらんと思った。競争が激しくなり、この国を代表する会社でさえもかなりの数の社員が土日も出て仕事をしている。小生が知る狭い範囲でも、家で勉強している人や、企画書等を練り上げる日にしている人が多い。生産者や小売店の方々の中でも、なかなか休みが取れないと嘆かれる人もいようが、この国ではかなりの人達が再度ハードワークするようになってきた。但し、高度成長の頃と異なり、皆がそうなのではなく、「自分がやらなきゃ誰がやる」という意欲を持った人達がハードワークする、普通の先進国のスタイルになってきている。
ご自分の会社なり、農場なりを運営して行く時、一流といえる企業で頑張っている人達が多いことを是非とも思い出して欲しいものである。


1997/09/15 磯村信夫