電子取引


携帯電話が普及した。これは家庭の中にも変化をもたらしたようだ。
今までは家で電話が鳴ると家内が出る。次に息子や娘、或は私が出る、というふうで、少なくとも家内は家族の一員がどういう人と付合い、またその交際範囲を知ることが出来た。
しかし今は、携帯電話を我が家の犬以外全員が持っているから、家内の知らないこともかなり多い。すなわちショートカットで直接本人同士ということになる。それは“個”が主役になっているインターネットでのビジネス、ケーブルテレビも同様だ。今まで電話とFAXしか双方向性がなく、それも個人が独占する情報ツールではなかった。しかし今は個人が所有する情報ツールが発達し、「直接」「直に」がキーワードとなってきた。
このことはすなわちショートカット=流通を省く、ということが一つの大きなトレンドとなってきていることがわかる。では実際はどのようになっているのか?一部で言われている「消費者は直接メーカーと取り引き」することが現実に起こってくるのか?小売店は地域の物流センター化するのか?私はそうは思わない。サイバースペースはあくまでも生活者の保管的なスペースで、“明”は現在あるビジネスの有り様、“暗”はサイバースペースで展開されることにある。買物の面倒な人はインターネットを使って買い物し、電子マネーで決裁する。しかし時間のある高齢者や実際の買物を楽しんみたい人は、通販やサイバースペースを利用しない。蝕感を大切にしたいのだ。
セリも同様で、このバーチャル時代の次にリアリティーを尊ぶライブの価値がますます出てくると読んでいる。証券市場におけるビッグバンの後、生き残れる市場は東京と先物を中心にした大阪の2市場と言われているが、卸売市場も同様になって行くであろう。日本の花き市場は、多くても20のセリ場所があれば充分なのではないか?我社はそれに選ばれるべくセリの面白さを今後とも増強していくつもりである。


1997/10/13 磯村信夫