経済の持っていき方


昨日の東京は快晴で風が強く、落ち葉が舞い、晩秋を楽しむにはもってこいの日であった。
散歩をしながらつくづく考えたことは、日本のみならず世界各国の経済への関心である。ベルリンの壁が崩壊し、イデオロギーの対立が無くなると、文化的な対立と貧富の格差(経済)しか関心がなくなった。中南米や東南アジア、東ヨーロッパと、この5年ほど経済成長が著しかったのだが、ここにきて通貨不安など構造的な問題が持ち上がってきた。日本もこの10年間バブルの負債を塩漬けにし、対応を怠ってきた。亡くなった司馬遼太郎が、住専問題の時、国金を使ってでも金融がしっかりしたものになるよう提唱したが、その瀬策は取られなかった。日本の民主主義は、少し愚劣になってきている。自分さえよければ良いと、エゴイスティックになってきている。官僚も気概を持った人は干され、官僚主義の人は局長、次長と登りつめている。経済も、「こと」しか関心が無いとしても、長期的な経済、いや「人」のことを思う経済が今ほど必要になっている時期はなかろう。あまりにも目先のことに一喜一憂し、情報化社会の中で翻弄されている人々を目の当たりにすることが多すぎる。
花き業界でも同様に、今の売れ具合をとやかく言うのではなく、来年、再来年どうするか明確にビジョンを持ち、それに近づける努力を今すべきである。


1997/11/24 磯村信夫