変革の進行状況


ようやく世の中では、「日本のリストラ後の展望」を描いた書物がベストセラーになってきた。
実体経済は花も含めズルズルとまだ下降しているが、腹が決まったというところであろう。かなり競争レベルが厳しくなってきて、本格的に人件費に手を付ける所が多くなった。特に好調の輸出関連企業では、国際競争の中で当然と言えば当然のように経費が(人件費も含め)圧縮されてきている。デフレに揺れている花き業界でも同様で、昨年来から今までコスト的に引き合った生産者は半分以下となっている。仕事のやり方を変え、リストラをした所はどうにか利益を確保し、更なる設備投資に意欲的に望んでいる。ますます現在の経済界、あるいは花き業界は、1985年のオランダに似てきた。唯一違うのは(またこれが最も大きな救いであるが)、所得が決して下がっていないことである。冒頭に書いたとおり、将来所得の下げが余儀なくされそうであるから、ここ3年ばかりはより物騒になったり、反社会的なことも出てこようが、それらを見越しても決して日本の状況は悲観的と見るよりも、むしろ血のにじむ努力をしながらも健康体へと移行するのではないか、またそうしなければならないと思う。




1998/01/12 磯村信夫