台湾出張


新聞では日本が中国のWTO批准に向け、国際社会に働きかけていると報じているが、台湾はその前にWTOを批准しようとしている。
日米交渉の中で、「牛肉をもっと買え」「米を輸入せよ」とのアメリカの圧力があったが、今台湾ではアメリカから「豚肉をもっと買え」と言われている。WTOを批准すると、韓国や日本がそうだったように、花のウェイトを高めて行こうとする農業政策になってくる。台湾はその様なことから亜熱帯の花を生産し、世界に輸出する計画が進行中である。まずは日本に輸出するだろうが、日本でそれを受入れ、適正価格で返すだけの力が今の花き業界にはない。減反が4割近くあり、野菜や花に転作している。国内の花を受け止め、消費しなければならないし、消費が不振の中でそれをしなければならないからだ。話しは横道に逸れるが、新聞では消費不振が30代中心に起きているという。しかし花の消費現場の実体は異なる。むしろ消費があまり落ちていないとされる高齢者の不振が目立つ。このズレは、年間所得400万円台の人が実質苦しくなっているのだろう。花はそれ以上の所得の人か、過処分所得の高い人達の消費に支えられているから、新聞報道と実体が異なっているのだろう。
話しを元に戻して、台湾の亜熱帯花きのプロジェクトは、40億円もの資本金で動いているが、日台両国の良き関係が無茶とも思える生産や輸出によって壊れてしまわないよう、日本の現在の花き業界の実体を今後とも知らせていく必要があろう。




1998/03/16 磯村信夫