優勝劣敗


昨日は入社試験であった。
今日本で起こっている表面的な現象、「失業率が4.1%になったこと」が、受験者の心理を直撃している。
昨年の晩秋、ゴールドマンサックスの人と話していた時に、「失業率5%(本格的にリストラを始めた証し)にならないと、海外の投資家は日本に目を向けないのではないか」と行っていたことが思い出される。
GDP4%ないし5%、金額にして20兆円あまりのものが供給過剰で消費されずに残る。こういうサプライサイドの構造を抱えたままでは、いくら政府が財政投融資をしようが景気は長続きしない。事業会社はまずそれなりに消費に見合っただけの供給にしていく必要があり、その中で生産性の高い会社(または社員)が収益を取り、さらに投資をし、事業を広げていく。日本の経済もこういったスタイルに変化してきた。頭では前から解っていたが、これ以上先伸ばしにすることはできない、というのが私の結論である。
受験した青年男女の意識は、まさに時代に相応しく、腹がすわったものであったが、既に社員となっている人達はこのような切羽詰まった危機感から縁遠い人もいる。
NHKのように、職員を2万人から1万3千人に減らし、その成果の一つにワールドカップ独占放送権を得るなど、自助努力し、体力を増強したところも多い。
このようなサプライサイドの生産性を一義に考え、改革を推し進めて行かなければならないのは花き業界も同様だが、効率と逆のところにあるガーデニングで人々がバランスを取ろうとしているのが何とも恨めしい。




1998/06/08 磯村信夫