6月第3週までの景気


主に天気のせいと、景気のせいで、6月の第3週まで切花類取扱は(地域によっても異なるが)2〜3割減、鉢物は前年並〜10%減というところである。
そうなると経営者は経費削減を考える。経費削減で、いま巷に展開されているのは「人件費削減運動」である。大田花きでは、7月のボーナスは昨年下半期の成績で決まることになっているので、足元の業績はほとんど関係ないが、一般的にはこの6月の売上高がもろに花き業界で働く人達のボーナス査定額となって表れるはずである。そうなると、残念ながら花き業界の7月のボーナスの伸びはほとんどなく、前年並というところであろう。
私がここで言いたいのは、6月の業績と世間で繰り返されている人件費削減運動により、我業界の経営者が安直に人件費を削減してはならないということである。売上が立たなかった分、人件費に手を付けるということは誰でもすぐ考えることで、それなら経営者は必要ないのではないかと思われる。私も世の風潮に習って安易な道を心の中では選ぼうとしていた。それに気付いて思わず赤面の至りであった。
経営者とは難しい経営の舵取りをすることであり、各自が能力を発揮できる諸条件を整えた後、それでも結果が出せない人は所得が少ない、というふうにすべきである。持ち味の違う社員各人が、充分能力発揮できるようにするのが経営者の役割で、安直に人件費に手を付けてはならないと、昨日散歩しながらつくづく思った次第である。
そう言えば、アメリカでも充分条件を整え、それを事前に知らせ、誰にもチャンスを与えた後にはじめて人件費に手を付けている、ということを1年前NHKの「ビジネス英語」で学んだことを思い出した。
今は消費者主義(消費者の一人勝ち)に根差した経済運営が行われている。お客様に直接サービスするのはどこでもその従業員であるはずだから、彼らが質の高いサービスができるようにしなければならない。そのモチベーションまで含めた条件整備を整えることこそ、経営者の役割であろう。
きのうは「オレもたいしたことないな。」と思いながら玄関のドアを開けた。




1998/06/22 磯村信夫