6月市況


6月も今日を入れてあと2日。
はじめて眠りの浅い1ヵ月であった。きっかけは売上が一昨年並みのレベルで、昨年より落ち込んでいたことであったが、それにもまして生産者へ再生産に繋がる価格を返すことができなかったことが大きな原因である。
それに気付いたのは10日過ぎであったから、そこから相場は相場として直接産地に赴いて現状を話し、未来について語ることによって彼らの生産意欲を失わせないようにしようと思った。日曜日には産地に行くか、あるいは会社に来て電話で主立った人たちと連絡を取るかせざるを得なかった。せざるを得なかったというのは、心理的に重く圧し掛かるものがあり、それが眠りを浅くしていることは良く分かっていたので、ほとんど強迫観念に駆られながら仕事をした。
小売店にもよく足を運んだ。都内で会合があると、顧客である小売店に足を運んだり、休みの日は東京にいれば必ず3〜5軒の小売店で業績の落ちていそうなところに顔を出し、話し合った。天候や景気、自助努力の範囲内でできないことも多いが、さりとて何か活路はあるだろうと、絶えず考えていた。家では食事のときでさえもテレビを消しものごとを考え、家内も犬も側に寄せず黙々と酒をのむ一ヶ月であった。
結論から言うと、1人ででき得る範囲内ですることはせいぜいこのくらいだが、少なくとも接した人たちに何等かの目標を与えることができたと思う。最悪の状態を脱出しつつある月末、7月はきっと好転するが、しかし天候異変は続くので、機会(チャンス)ロスが心配である。




1998/06/29 磯村信夫