地殻変動


業界紙には最終の決算発表が記載されている。
主に青果、魚の卸売会社の決算だが、売上高による差よりも、会社により収益体質がまちまちであることに驚く。物余りと競争力激化ゆえ、売上数字は作れても、収益となると中央卸売市場の卸売会社でも、今までとは異なり、難しいようである。
一般紙を見ると、系統農協のリストラが本格化しているのがわかる。来年4月から2段階方式を採用。この我々の業界では、農協と全農(県支所)というところが増えそうである。ホクレンは、農協と全農を離れて活動するのであろう。今期より北海道の大型農協で使用されている箱は、「ホクレンの花」と印刷されており、よく見ない限りどこの農協のものなのかわからない。
先日、長野県経済連殿の取引会議に、東京支所管内の花の卸売会社を代表して出席した。その中で、長野経済連は来年度全農長野支所になり活動を進めていくときいたが、今までの独自性を保てるかどうか心配である。「ぜひとも今までのように競争力を保持し、ファンのためにも卸売会社と一緒に販路拡大をしていただきたい。」と発言した。
しかし日経新聞によると、全農は卸売市場と同様の昨日を有す自前のセンターを通さずに、農協の集出荷所から量販店へ直接センター納品するという。花は見るものゆえ、品揃え機能から卸売市場流通は社会のインフラ価値が今後とも持続されようが、水産や青果において(特に青果において)、大手商社や大手加工食品メーカーの相次ぐ垂直統合により市場の機能そのものが社会的に価値のあるものかどうか地殻変動が起きている。
冒頭にお話した青果卸売会社の会社別収益性の差違は、社会のインフラとして機能しているかどうかという視点から見るべきであろう。花もここにきてマスプロダクションへの指向が強まっており、「規模の経済」か「範囲の経済」か、花卉卸売会社の経営層は明確なヴィジョンを持ち、自社の進むべき方向を打ち出し、収益性の改善に努めなければならない。




1998/07/20 磯村信夫