天候異変のB級品


高冷地の産地は今年梅雨が明けず、日射量不足で冷夏と、栽培に何かと苦労の多い年である。
キク類の前進開花で何もかも早いのかというと、決してさにあらず。台風が上陸しなかったため、計算どおりの出荷が出来たケイトウやアスターなどの生産者は、7月8月のお盆ともホクホク顔であった。
今年の8月のお盆で、ワレモコウの価格が下落した。同様にコスモスも安かった。「お盆が終わってから秋のものを」が、小売店の気持ちだろうが、早まってしまったのである。リンドウもキク類同様早まってしまったわけだが、今年のリンドウは7月下旬から1番下の花ないし2番が実を結んで種を付けてしまっているのが大変多かった。20日頃から何やら花もちが良くないという話を買参人から聞き、「おかしいな、灰色カビ病は9月から出るので8月はあまりないはずなのに...」と思っていた。それに産地は干ばつ気味だとも聞いていた。早速箱を開けて調べてみると、第1花、第2花に結実しているものがあった。25日過ぎ、そしていよいよ量がまとまってきた8月初旬には、極端に言えば1箱の1/3位が種を付けてしまっていた。産地もどしゃ降り続きで、乾かしている間もなく箱詰めしたので、輸送中に傷んだのだろうと思ったが、弊社調査部の担当者が「花を触ってみてください」というので実際に触ってみると、確かにもう実を付け、それで花が茶色になっているのだ。
天候のなせる業でやむを得ないが、何も知らずに長期間ストックしておいた人たちは、お盆の時に使えたかどうか甚だ心配である。弊社は事前にそれとなく買参人に伝えていたので、大きなクレームはなかったが、事故処理に追われたところもあったと思う。
岩手県を中心に、出荷適期を逸するわ、花もちは悪くなるわで、リンドウの産地は大変であったろう。来年もまたお盆は来ることでもあるし、事前にB級に落とせなかったことが反省点として残った。




1998/08/17 磯村信夫