天災が人災に追い打ちをかける


経済が悪い昨今、天候災害は我々を不安に陥れる。
JFTDの大会が25日の火曜日から27日木曜日まで開催されたが、28日の金曜日の相場を見る限り、大会自体の盛り上がりとは別に、プライベートな会員同士での会話は、不況のぼやきが多かったのではないか。台風が関東地方に来るかも知れないと云う情報を差し引いても、それ程相場は湿っていた。この時点で、今年の夏の天候は、9月の彼岸まで西高東低の相場。彼岸過ぎの秋相場は東高西低の傾向だと分かったが、それにしても集中豪雨は余分過ぎる。那須町は、個人的な事で恐縮だが、私が業界に入ったとき、長野県茅野市で研修を終えた人見角一氏たちがリンドウの生産に入った年だった。それ以来四半世紀の付き合いで、那須の花作りの先駆者達と、人生の後半でお互い何を次世代に引き継いで貰うか、今年から伴に考え出したところだった。例え岩手県で素晴らしいリンドウを増産したとしても、那須のリンドウをこれ以上衰退させるわけには行かない。たとえ紫は小結、色物は関脇クラスであっても、夏はリンドウ中心に行こうと、減反面積はリンドウ畑と決心し、会員のムードが盛り上がって来た矢先の出来事であった。遷都の候補地にもなっていた那須にこの様な大災害が起ころうとは、生産者の気持ちを考えると無念で無念でしょうがない。落ち着いたら一晩伴に語り明かしたいと思う。
さて、買参人サイドで、いままで支払いの遅かった人がジワジワと支払いが遅れてきた。「何やら感じが悪いですね」は担当者の弁。いままで花店で支払いの悪かった人は博打か女が原因であったが、近頃はバブル期に自社ビルを建てたところ、もっとひどく不動産・ゴルフ場・絵画などに手を出した人たちが立ち行かなくなってきた。銀行からすると債権第一分類であった筈の花店も貸し店舗やオフィースがうまらなかったり、価格を下げざるを得なくなって、それが第二分類になってしまった。銀行はここで本格的に第二分類の債権回収に走っているので、業界では名の通った店でも倒産する可能性が高まってきた。「月末の○○花店の小切手をジャンプさせてくれ」と仲卸から先日連絡があり、いよいよ○○花店は倒産間近と知った。良くあるとは云わないが、何時倒れるかも知れないと言うブランド地名の有名花店が幾つかあることは事実なのである。




1998/08/31 磯村信夫