プロゴルファー賃金体系


善し悪しは別として、日本の社会は性善説から性悪説へ、母性社会から、父性社会へと振れてきた。出来るやつしかお呼びじゃないと、賃金が下がってきている人も多い。
花き業界は以前から実力主義であった。農家なぞはまさにプロゴルファーと同じ厳しさの中で収入を得てきたのだ。
話は横道に逸れるが、プロスポーツでもプロゴルファーほど厳しい商売はない。結果を出さなければ収入が得られないのだ。他のスポーツは前年の成果によって評価されるから、プロゴルファーよりも保証が効いている。
話を戻して、花店は過去の実績が物を言い、才覚を生かしさえすればプロ野球選手並みの報酬が約束されている。卸売会社や仲卸は、そこへいくと保証され過ぎで、今までボーナスに増減はあったが、基本給与に手をつけられてはいなかった。これがようやく将来のプロゴルファー賃金体系へ向けて、少しずつ歩みださざるをえなくなってきた。
かって中小企業の従業員が収入減になった後も、花の需要を支え続けてきてくれた大手企業のサラリーマンも、リストラでその奥さん方は花の消費を縮小させてきた。こうなるとデフレで使い出のある現金を持つ高齢者に、再度ターゲットを絞らざるをえない。高齢者と若者、これが下半期の花のターゲットとなる。しかし、人口がシュリンクしているから、よほどの供給減が続かない限り、期待する方がおかしいというものだ。
さて、このような商売環境の中、卸や仲卸など組織で働く人々は、サラリーマンとは自分しか売り物がない、最も小さな個人商店であると再認識し、会社の利益に貢献できる働きをしなければならなくなってきている。
皆さんの暮れのボーナスはどうであろうか。


1998/11/23 磯村信夫