松・千両の予測


昨日、常務の小杉と松、千両の荷主さん数軒に、陣中見舞いに伺った。
鹿島の松屋さんは、前に切ったものが蒸れていたり、出荷数量が不足しているので切り直したりしている所もあったが、概ね花松の出荷は完了していた。波崎の荷主さんは千両を手がけはじめたところで、松は水槽に浸かって出荷を待っている。作柄は2品目とも良いとはいえない。
少し詳しく触れると...
松:岡野正孝さんが、今年の傾向を上手に要約してくれた。「今年の傾向は2つあるんです。地力のないところは、どうしても手頃なものが欲しいと市場さんが言うので、厚めに作って小さいものが中で蒸れてしまいました。結局樹勢の良いものが伸びて、門松は多いのです。概して鹿島方面はこの傾向が強いようです。また地力のあるところは、小さい若松も順調に育ちましたが、長雨後、雨がほとんどなく、結局上根だったんでしょう、切り出してみると予定より2〜3割も少ない数量になってしまいました。それは葉が部分的に黄色くなって枯れてしまい、結局ハネものが多くなったからです。この傾向は波崎に多いようです。」
松については人によって1割少ないとみた。あのお天気だったので最良の品質とはいえないが、悪天候にしては悪くないというのが率直な印象である。
千両:昨年が裏年であったので、今年は実付きが良いはずだった。しかし、台風5号の塩害により、留葉の先が黒ずんでいる。出荷できないものもあり、少なかった昨年と同じか、等階級が増えるために箱数が昨年より少なくなる可能性がある。例年からすると2割減とみた。
商況の予想:松市は12月10日(木)で、日本中おしまいになる。今年のボーナスは4日(金)に出るところが多いのだが、小売店にこの資金が還流するのは7日の週となろう。そうなると、松市は昨年のように乱調気味な相場にはならないものの、例年並みの相場に落ち着くだろう。割高となるのは、鹿島の松3〜4等品で、花ものが少ないことを考えると、昨年同様17、18日頃から不足すると予測される。
千両は実付きが悪かった昨年と異なり、本年は葉に障害があるため、投機的な買いは存在しない。よって昨年より高値は下がり、平均で相場は安くなるだろう。2〜3等品に葉の障害が出るため、仕入れ、販売の双方とも、取引前の事前検品が欠かせない年である。商況は小売商の仕入れ予算の分配を考えると、松、千両ともどちらかというと西高東低になる可能性が大きい。


1998/11/30 磯村信夫