輸入品について


今朝、11月にオランダで開催された花のフェアに行ってこられた産地の方が見えて、会場にケニアの花が大々的に紹介されているのを見てショックを受けられたと話していた。
日本へ輸入される花は、概ね日本の花不足を補う程度で、国産品を隅に追いやるほどの驚異はないと語った。理由は、一つに花栽培の適地である赤道直下の高地が少ないこと、2つめにインフラが未整備であること、3つめに中国やインド、インドネシアなど、人口が多く、将来は花の消費大国になるであろうこと、以上3点が主立った理由である。しかし、近々台湾で熱病のように作られているオンシジュームと、仕向け先に困った韓国のバラが、日本の生産者に驚異を与えるであろう。
日本の消費者は完璧なものを要求する。今は品種や色、そして葉などの外観の点で見劣りする花は受け入れてくれない。だからオランダや中南米のものは良いが、アジアのものが輸入されにくいのだ。生産技術が進歩し、外観が整っても、今度は中身の問題になる。中南米のバラが咲ききらないことを理由に、オランダではセカンドグレードになっているのはそのためである。日本もこのようになっていくのであろう。そうなると、日本の消費者には選択肢が少なく、国産品しか選べないのでは、価格の点で難がある。今一度農業でも効率を前面に押し出した新しい栽培技術の革新が求められている。


1998/12/07 磯村信夫