花き流通業者は改善を急げ


来年度の国家予算は大きなものになった。土地や株式やゴルフ会員権などが、バブル崩壊後に極端なデフレに陥ったが、政府が財政の後押しをしてどうやら平静を装っていたものの、橋本政権の時に緊縮予算を取り、政府の後押しがなくなって日本経済はガタガタになった。
その後の今回の大型予算で、正のスパイラルへ転じていくものと思われる。「正のスパイラル」とは、所得が増え支出をするようになり、生産やサービスが増え、そこで働く人々の所得が増えるという好循環のことである。株式や一部の土地を除き、資産デフレは構造的なものであるから、今までのように全ての人がこの正のスパイラルに乗っていくとは思われない。もう既に草野球リーグの人達はいらないと社会から言われており、失業率は必然高まるので、プラスに転じると言えどもまだら模様になり、その時期は来年の冬になるのでないかと思われる。プラスに転じた後、もう5年も続く異常な低金利が上がり始める。この時期がいつであるか、推測は難しいが、現在0.5%の金利水準は資産デフレで会社や個人のバランスシートが崩れ、借り手がいない状況を示している。具体的にはマンションを5千万で買い、まだローンを払いつづけているのに、その価値は半分の2千5百万にしかならない。このバランスシートが崩れている現況では、いくら金利が安いからといって、新たにマンションに投資する気にはならない。せいぜい借り替えするのが関の山だ。
日本中が多かれ少なかれこのような状況におかれているため、0.5%金利が続いているの。しかしこれが本年改正された日銀法を睨み合わせると、当然日銀は金利をいつ上げるか考えているはずである。「景気が好循環し始めた時」に問題になるのは、仲卸や卸の流動比率である。金利がまともな水準になると、すなわち日本経済が健康になるにつれ、運転資金がショートしている花き流通業者の財務体質が悪化する危険が大きいということである。今から一年以内に財務体質健全化へ向けて、エネルギーを注入する必要があろう。
くどいようだが、その努力を急ぐ理由のもう一つに、銀行のリストラや貸し渋り、「貸付先の厳しい峻別」が景気がプラスに転じた時点から猛然と起こってくるということである。


1998/12/21 磯村信夫