千葉、茨城の健闘を祈る


今日から3月。仲卸通りも2月とは打って変わって、花を抱える買出し人で5時頃から賑わっている。今年の状況は、千葉の荷物を見ても判るとおり、10日程早いのではないか。
荷が増えてくるのは良いことだが、困るのは事前情報が遅くなることである。九州や四国は遠隔地ゆえ、早めに事前情報が届く。しかし、愛知や静岡、特に千葉は多くなればなるほど情報が遅くなる。遅くなって困るのは、先取りの引当ができないためである。
セリ前の取引には予約相対や先取りがあるが、セリの前に一仕事してしまおうという気運が、量が多くなると仲卸を中心に出てくる。それもそのはずで、セリが昼近くまでかかるので、暖かくなると鮮度の効いた品物をセリの前に商いしてしまおうというのだ。
今、千葉県安房郡は2農協になった。JA安房と、JA鴨川である。この2農協の管内で、2百億近い花き生産があるのではないかと推定される。観光農園も盛んだが、やはり市場出荷がメインである。技術力に大変優れた人が多い安房郡の生産者は、今でもセリ取引のことしか頭にない。セリが中心であるのは花き市場の良き伝統で、今後とも守っていかなければならないが、セリ以外にも契約取引である予約相対や先取りがあることを、是非とも知っていただきたい。千葉県の産品とほとんど競合する和歌山県には、菜花や仏花用のストックなど、予約相対を主に取組んでいる産地もある。そのような取組みをすれば、安房郡の花は平均単価であと2〜3割上がってもおかしくないと思うのである。千葉、茨城と、園芸農産物では日本で屈指のこの2県が、花では農協の取組みが遅かったために現代の産地としての必須機能に欠けている。それゆえ花では評価がおぼつかないのは、なんとも歯がゆいところである。


1999/03/01 磯村信夫