日本農業改革


かって「クロヨン」という言葉があった。これはサラリーマンの9割、個人事業主で6割、農業事業者では4割が税金を納めているということである。
しかし、平成6年度の調査では、4,372万人のサラリーマンのうち91%、自営業者796万人のうち285万人の35.8%が納税者という結果が出ている。ところが農業所得者345万人のうち、税金を納めているのは27万人。たったの7.8%である。
平成7年の農業白書によると、就業人口に占める農業所得者は5.1%。GDPに占める農業総生産額の割合は1.4%となっている。94年の細川政権時代、GATTウルグアイラウンドを批准し、本年の通常国会で農業基本法が認められた。今日の日経の「春秋」にもあるように、現在コメの関税は1㌔につき350円と事実上輸入しにくい税率となっている。学者や経済界から、「価格は市場に委ねるべきだ」との発言が相次いでいるが、政治の間違いを一方的に農村部に押し付けられない現況を、商売柄良く理解している。しかし、可及的速やかに価格保証のあった農産物を既に始まっている新しい資本主義のあり方、即ちガラス張りの開かれた顧客中心主義市場に委ねなければならない。GDPの貢献率や納税額だけが大切な指標でないことは承知しているが、農業者は有権者の政治に対する不信の声に耳を傾け、自助努力をし、国土保全と相俟って新しい日本の農業を作り上げていって欲しいと願っている。


1999/04/19 磯村信夫