インターネットビジネスの難しさ


ここのところにきて、amazon.com の株価が下がっている。
本に加え、化粧品やその他の商品を意欲的に扱うようになっている amazon.com だが、いくらIBMのコマーシャルにあるように、地価の安いところで本をストックしておいても、地代は安いが本代は基本的に変わらない。その在庫たるもの中々大変で、収益を圧迫しているのが株価下落の一つの要因だ。
エレクトリック・コマースで消費者へ直接販売する業者は、在庫確保のリスクが絶えずある。amazon.com と同様、花のサイトでも困ったという話をよく聞く。日本でもインターネット上のショッピングモールで花を販売している所は、私が知る限りで10軒ほどある。日本では去年よりエレクトリック・コマースが盛んだから、今ネット上で受注すると予定の3倍も来てしまうという業者がある。すると結局用意していた材料を全て使ってしまい、価格は輸賃と諸経費込みで小売店と同じにしてあるので、新たに仕入れた材料が利益の足をひっぱり、赤字になってしまう。また、「去年はいけたから今年も」と思うと、商品を見比べて割高に感じたところは、去年が500だったのに対して今年は10という極端な状況になり、在庫を投げてしまうことになる。それゆえ、店舗を持たない会社がエレクトリック・コマースをすると、今の時代なかなか読み切れないということになっている。
当面、大手小売店や小売の仲間達など、既存の商売で販売するために在庫を抱えているところが、ネット上のショッピングモールに参加することがリスクが少なく利益が出せるようである。本屋の例では、ソフトバンクがトーハン、セブン・イレブン、ヤマトと組んで作ったネット上の本屋は、今言ったリスク回避をし、利益が出る非常に良い仕組みである。
今後とも .COMが増えていくだろうが、数量の読みと在庫という利益の大本になるナレッジが、やはりここでも決め手になる。


1999/06/14 磯村信夫