引き続きITについて


 大人のブランド品の売行きが好調である。クリスチャン・ディオール、ブルガリなど、前年を3〜4割以上も上回っているブランドがある。バブルが崩壊して若者、特にOLがブランドを好んで買い、プラダやグッチなどアメリカのデザイナーによる固有ブランドが日本では脚光を浴び、それが熟年層まで広がる勢いを見せていたが、ここで様相が様変わりしてきた。明かに下位層化へと向かってきている。高額納税者は、この4月に所得税減税によって得た資金は大きかったのであろう。ファッションのブランドだけでなく、ゴルフ場でも下位層化が起きている。

花も大人の味わいのあるものが売れるだろうが、それが高級レストランや料亭から“交際費族”が少なくなって、一部の枝モノや飛びっきりのバラなどの単価が下落している。どのくらいニューリッチや金持ち達がそれらを支持しているのか、市況的には判断できない。しかしこの芽が必ず日々の取引の中に埋まっているはずなので、今少し検証を重ねていきたい。

次なる話は、先週に引き続いて「IT」についてである。マーケティングはイノベーター、アーリーアダプター、アーリーマジョリティ−、レイトマジョリティー、ガラードと、4階層で分ける。花の分布は、イノベーター3.5%、アーリーアダプター13.5%で、この17%の人達が新しいトレンドを引っ張る。

今ガーデニングは、アーリーマジョリティーまでほぼ浸透したので、業界紙などでは「ガーデニングを定着させるためには」などの特集や、座談会などの企画記事を載せている。パソコンは今アーリーマジョリティーの段階に突入し出した。こうなると、爆発的に広がっていく可能性が高い。だからITやインターネットについての記事が目につく訳だ。社会のインフラになっていくことがほぼ確実になったインターネットは、メールを利用しCtoC(Consumer to Consumer)、あるいは当社ではBtoB(Business unit to Business unit)で初期段階は構成される。しかし今後は、BtoCビジネスが多くなっていくものと思われる。AOL(アメリカオンライン)は、無料パソコンの配布をしている。もちろんプロバイダはAOLだ。日本でもDDI、IBM、ソニー連合がパソコン無料配布を始めた。ネットビジネスをどのように自分の利益に繋げて行くか。日々競争は激化してきている。早い者勝ちだ。

400年前に徳川家康が作った卸売市場システムを、ほぼ変更することなく使い続けている花き市場でも、まずBtoCビジネスで小売店の足元がすくわれる可能性が高い。何もすぐアメリカのようになる訳ではない。アメリカで起こった変化が、すぐ日本で現れるという訳でもない。しかし、60%あった専門店の花き小売シェアがたった2年間で40%になったのだ。それは①バクスターコーヒー等異業種が専門店を買収し、チェーン店化している。②ネットビジネスの台頭により、記念日の花がかなりインターナット花店にうばわれてきている。よって専門店は平常の需要しかとれなくなって、トータルで花の扱いシェアを落としてきているのである。

このような動きに敏感に反映していかないと、インターネットが日本でもアーリーマジョリティーの段階まで来ていることを意識し、小売店は素早い対応を迫られている。インフラであるインターネットを使った仕事を心がけなければならない。




1999/10/11 磯村信夫