価格安の理由


 エコノミストによると、株式で外人の買いが旺盛のように、土地でも割安と感じる物件に外人の拾い買いが出てきていると言う。1年前と比較すると、まだ価格はマイナスだが、3ヶ月前と比較すると好転してきているようだ。一般に株式は実体経済の8〜9ヶ月先を行っていると言われるし、株式相場が上がってから1年半ないし2年すると、土地の価格が上昇に転ずるといわれている。しかし、外人が土地を買っているのが事実であるなら、あまり時間を経ずして土地が上がってくることも考えられる。そうなると、先行きに対する恐怖や不安が取り除かれ、個人消費や設備投資が活発化してくるはずである。しかし、今の不況はバランスシートを改善しようとしているための不況であるから、誰もが「景気が戻った」と実感できるようになるには、あと2〜3年ほどの歳月が必要である。

恐怖や不安で個人消費が落ちているが、花の場合は「価格下げ」となってこれが現れている。特に切花では2割ほど価格が下がっている。結局は昨年以上に切花も鉢物も売れているのだが、それは数量ベースでの話で、業務需要が低価格になり、業務需要に支えられていた高品質、高額商品が一般の家庭向けに売られるようになってきた。しかし当然のことだが、家計支出は税金支払後の金で買うわけだから、高くは買えない。良いものが今年に入ってリーズナブルな価格で手に入るようになったから、裾物はお役御免の相場で取引されるようになってきた。良いものが割安に、裾物は無用品と言わんばかりの価格。これが前年よりも単価が2割安い理由である。

この相場展開は、花き業界が時代に合わせていくための一過性の現象と見る向きもある。たしかに業界関係者にとって、そのように捉えてしかるべきであろうが、一方では、花ももっと大きなトレンドである国際価格に近づいていくということも、見逃してはならない。




1999/11/15 磯村信夫