フィードバック体制


 11日付の産経新聞によると、城南信用組合が東京、神奈川の1,306の中小企業を対象に冬のボーナスについて調査した。大変厳しい内容で、3割はボーナスなし、20万円未満の支給が23.3%、20〜30万円未満が37.7%であると報じている。こういう経済状態の中で家計を遣り繰りするのだから、既に住宅ローンや車のローンなどでボーナスからの繰入れを予定していたところは他の消費を削らなければならなかったであろう。この需要基盤を前提に仕事を組立てて行く必要がある。

今年の年末は、トータルとして例年並みの売上を小売商にもたらすと考える。Y2Kで自宅で正月を迎える人たちが多いからだ。地位の高い人ほど自宅で正月を迎えるというのも、新年の挨拶回りの慣行が崩れた数年前から、久々のことである。しかし、これが相場に結びつくかというと、どうもはっきりしない。なにせ足元の消費は軟弱であるから、小売店は押し迫ってから仕入れをしようと考えている。近未来のことでも投資しようとは思っていないようだ。その傾向が如実に現れたのが、昨日の松市の市況である。固定客に良い物を販売しようと、銘柄品を必要量だけ買おうとする小売商の姿勢が現れていた。だから値段で余分なものを買ってしまうということや、量を売っていこうとする人たちは少なく、乱調気味の相場展開であった。特に料理屋で使われるような和式の極上のものが、昨年よりさらに値を落としていた。

年末の花物の出荷は、例年よりも一週間ほど早くなっていると言われているので、生産者は少しでも需要期に合わせようとする努力をしているが、生き物ゆえ抑えが効かないらしく、今日から入荷量が増えてきた。

今年は一年、天候不順による需給のミスマッチが多かったが、12月も同じ傾向で年を終えるとは何とも歯がゆいことである。来年は開花技術をさらに磨き、ジャスト・イン・タイムで花を流通させていきたい。そのためには天候、欲しがる時期などのフィードバック体制を強化していかなければならない。




1999/12/13 磯村信夫