共通した情報を持つことの大切さ


 時間が遅くなり、誠に申し訳ありませんでした。
今日は会社設立以来最大の入荷量で、運送梱で3万梱ありました。

昨日、今月に入って怠けていた定点観測(都内の十数ヶ所の小売店を、できれば2週間に1回定期的に見ているものです。弊社のお取引先が主だったところですが、それ以外の小売店も見ています)に、昼から夕方の7時まで都内各所を回りました。その時、クリスマスからようやく正月の装いをしているところや、クリスマスが終わったばかりのところがほとんどで、正月用の在庫は特に洋花を中心に、無いに等しいところがほとんどでした。こうまで遅いのは今までになかったことですが、その分不安が仕入れを遅らせていたものと思われます。このことは花店同様、定点観測している大森近辺の八百屋さんや、スーパーマーケットにも言えることです。

今花き業界では、流通段階で何もかも一緒に変革期が訪れています。青果物では、小売段階の変化はほぼ終わりに近づき、流通段階の変革期となっています。そしてメーカーである産地は、第2の変革期を迎えています。「花は全て一緒に」というのは、小売も流通、生産地も全て同時期に変革期に入っているということです。このような業界が他にあったかどうかわかりませんが、それぞれの変革期の中で納得できる答えがなかなか見つけ難い状況であったと思われます。

年末にあたり、私なりの答えは①今年は機会ロスが多かったということ。即ち消費者の欲しがるものを、タイミング良く量をまとめて出荷できなかった。一つといえば、これに尽きます。価値あるものが値頃であること。良く値頃とこだわりと言いますが、まさにこのような状況に消費者市場はなっているのです。下位等級が安くても、もう消費者は見向きもしてくれません。下位等級を好んでいた消費者はリストラに遭い、花を買う余裕がなくなっているのです。

②情報が開示されていないことが大きな理由です。以前にもこの項で言いましたが、産地情報が甚だ適確でないということです。また、それが皆で共有している情報ではないということです。そして卸売会社の入荷情報が買参人に適確に開示されていないということです。さらに、小売店の売行き情報が、卸売会社や生産地に開示されていないということです。
この業界を削いで削いでいけば、必要なのは生産者と消費者だけとなります。しかし、生産者が何もかもいちいち自分でするとなると、生産している暇はなくなってしまいます。その代行業として農協、経済連、運送店、卸売会社、仲卸、小売店などが存在するのです。そうしますと、今まで業界の常識では生産者と再販業者である小売商は、利害が対立すると考えられていましたが、本質的には心が通い、情報を共有していれば、利害は一致することがわかります。

荷が捌けないから買えない。しかし花は生き物だからストックできずに出荷する。よってその時は価格が安くなります。店の販売力にもよりますが、消費者が欲しいと思わなければ安くなります。それを率直な意見だととることが大切でしょう。

前提条件は供給の方が需要より多いということです。消費者は花店を選ぶことができるし、花店は産地を選ぶことができる。当たり前のことですが、選択肢が増えてきたという、普通の産業と同じ状況になっている。それが情報を開示し、情報を共有し、利害が一致しているという前提条件なのです。来年こそは情報を開示し、フェアな競争ができる業界になって欲しいと考えています。

この一年、ご愛読ありがとうございました。
来年も変わらぬご愛顧の程、よろしくお願い申し上げます。




1999/12/27 磯村信夫