ベテラン安


東京では土日の天気予報が外れて良かった。雪でも降ろうものなら、3月のお節句関連以外続落するところであった。

1ヶ月に一回は取引を見ようと心がけている。1ヶ月に1回だと、流れについていけず戸惑うことも多い。たとえば、ブランドイメージによって相場の強弱が甚だしくなっている点など、少しついていけない気がしている。未明に来て、品質をチェックしたりしているのだが、そこまで差はないと思うのに差が倍以上ひらく。去年までは、上位等級にその差があったが、今年は下位等級にもろに出ている。小菊のASでさえも20円台で売れる産地と10円以下の産地があるのだ。まさに内容がしっかりしている産地しかお金が取れない時代となってきたようだ。中身がしっかりしているというのは、生産者の栽培技術だけでなく、新品種導入をはかっていく、その出荷組合の積極的な姿勢などが結局イメージを作り上げているのだ。

社長としてまた気づく点は、セリ場で時として、ベテランが傲慢になっていることだ。その人のセリに一所懸命が感じられないとき、競っている花の価格は必ず5円くらい安い。こういうことがときにあるのだ。多分、世の中のサービスレベルにそのせり人は達していないのであろう。

同様に、社長だから、月二回management by walking aroundをする。どの社員がどれだけ成長したか、適材適所に配置されているか、裏表なくがんばっている社員は誰かと、セリ業務を中心にしたところと、出張の移動中寝だめしておき、夜間そのまま、先取り・荷受け物流まで、作業状況を見る。少し慣れてくると傲慢さが目に付く社員が出てくる。もちろん、いばっているわけではないが、仕える気持ちを忘れているのである。かれらに時として、江戸時代、大阪の卸売市場のチェックマンであった大塩平八郎の教えをもって注意する。「人の中に心があるのではなく、心の中に人がある。よって、貴殿は洗心せよ。そのとき、はじめてあなたの人としてのよき面が出で、行いも正しくおこなわれることになると。」

今の日本では収入が、十分とはいえない人たちが多くなってきた。人のせいにしたり、妬んだりする人たちも多い。しかし、一方では、不況ゆえに着実に努力している人たちも多くいて、この人たちが新しい花き業界をひっぱってゆく。

3,5,7,10,15年たった人たちよ。もう一度今までのやり方とは違ったやり方をもって、仕事に精進してほしいと思う。


2000/02/21 磯村信夫