定点観測


経済企画庁の発表でも景気が好転したとしているが、小生が長年行っている定点観測においても、最悪期を脱し、景気は上向きつつあると見ている。ここで問題なのが、もしニューエコノミーやオールドエコノミーといったアメリカのNASDAQや日本のハイテク株の高値を支える考え方を適用すれば、おおよそほとんどの企業は未だ低価格で売上不振、利益減の状態と言えよう。バブル経済と比べてみると、当然売上げも利益も見劣りする。しかし、バブルが弾けて二進も三進も行かなくなった数年前と比べてみると、確実に内容が良くなっている企業が目立つ。

企業の設備投資は景気の好循環を呼ぶものだが、個人消費はどうだろうか?特に力がなかったのが、生鮮食料品、花の売り場であった。昨年の第3四半期では、前年より2割も価格が下がり、生産者を心配させたが、2月のバレンタイン・デー頃より花や生鮮食料品も上向いてきたように思う。先週木曜日に定点観測した限りでは、特に個人消費は確実に良くなってきているのが判る。

しかし、従来の売れ筋パターンでなくなってきているのが問題だ。この10年間、スーパーマーケットは仏花を定番化してきた。よって菊類の販売量が増した訳だが、高齢化社会で物故者の数が年々伸びているにも関わらず、昨年以来仏花が振るわない。スーパーマーケットの花売りが振るわないのであろうか?

小生が観察するには、センスの良さが全ての花に欠かせなくなっているように思う。和花、洋花共、気品が必要で、センスを感じさせない花が売れなくなっているのである。もちろん花束の作り方にも寄ろうが、品種にも寄る。なにやらすっかり時代は変わってしまい、今までの考えでは単価安を嘆くだけになってしまう可能性が高い。産地も卸も小売店も、センスの良さをどう出すかにポイントがあり、これを守っている小売店が売れ始めてきたのである。


2000/03/13 磯村信夫