中国の花


 台湾の総選挙を睨み、中国の朱首相が記者会見した。その様子が昨日の日曜日にも何度もテレビに映し出された。内容はともかく、まさに百花繚乱の中での記者会見であった。今まではカーネーションやバラだけ、時々カスミソウや宿根スターチスを見るだけだったのが、アルストロメリアの新品種も出ているのでびっくりした。確か中国は植物特許をまだ批准せず、オランダの業者がパテントの付いたものを売っても、パテント代が取れないはずなのに。

一般的に、中国は「南船北馬」と言われ、北京は当然「北馬」に位置し、日本人と顔立ちもそれほど変わらないにもかかわらず、むしろ欧米と共通点の多い人達だ。ズボンを履き馬に乗り、帽子を被って椅子に座り、肌を見せることを忌み、礼儀や儀式を重んじる。中国は確かに梅やボタンなどいろいろな花々が多く、古来から花を愛でてきた国民ではあるが、共産主義と文化大革命によって、過去の伝統の復活よりもむしろ欧米の花を積極的に入れる道を選んだ。それが昆明のカーネーションであり、今回の記者会見を飾っている花々である。

豊かさの証として花を使っていこうとするところに、中国の経済政策を垣間見ることができる。人民解放軍がいかに強行意見を吐こうとも、国を運営していくために今の中国政府には平和を守り、国民経済を持続的に成長させる以外にないというところであろう。また花については、5年後の国内花き生産に与える影響を、今から考えておくべきであろう。


2000/03/20 磯村信夫