今年も単価安は続く


 経済を見る時の基本として、消費・設備投資・所得の3つのファクターを追って行くことが必要である。設備投資と言っても、不要なものを消去し、IT関連の投資が始まったところであるから、期待できる程ではない。政府の公共投資の息が切れてきて、建築業など不安な状態にあるわけだから、総じて投資は捗々しくない。となると、所得も問題であろう。だから個人投資は伸びない。

正のスパイラルに来ているかというと、それよりも負のスパイラルが止まったと見ておけば良いのではないか。負のスパイラルが止まったと言っても、いいところがある代りに、ますます悪くなっていくところがあって、それで止まったと見るべきであろう。

昨年度は延べ来客店数の伸びが3%、単価が15%程下がって、売上高は前年比94.5%となった。我社も単価安に泣いたのである。この状況の中で、買参人(大田花きを利用する卸や小売店)のうち推定2割は、「前年を上回った。最悪期は平成10年度だった。」と言う。8割は「今年は売上と利益を落とした」と言っている。8割の人が前年を下回ったから、個人消費の力強さから見て今年もまだ価格が下がると見てしかるべきである。社内でも議論の分れたところであるが、切、鉢共単価が5%落ちるという意見と、10%落ちてしまうという意見があった。10%単価が落ちても利益が確保できる経営をしていかなければならないであろう。

販売の方法として、切花も鉢物も荷余りだから2日で売切る。2日毎に店の花を全て入替えられるように販売する。これが小売店の売り方であろう。これを成し遂げたところが繁盛していく。


2000/04/03 磯村信夫