暑い時こそ鮮度に気をつけて


 第一四半期が終わった。4月が前年を大幅に落ち込んだものの、5月、6月と前年を上回っている卸売会社が多いのは喜ばしいこと。今年は母の日がゴールデンウィーク明け後1週間もあり、5月の市況は野菜、果実に比べて物日があった分だけ前年を上回った。しかし、前年が安値であったことを考えると、日巡りからすればそうは喜べる状況ではない。

6月は最終週に高冷地のピークがきて、価格は低調になったが、その前2週間ほどは荷が薄く、久方振りの堅調といえる商況となった。これは切花の話で、園芸物は週末に雨に祟られ、切花より単価の下落が大きくなっている。一年おきで園芸物の下げの方が大きいのではないかと業界関係者に感じさせる市況が続いた。

この第一四半期で明るい話といえば、法人需要が全くの0から少しずつ復活の兆しを見せ始めてきたことである。3年ほど前は、月末や四半期、仮決算、決算期において転勤、退社する人達へ花束のプレゼントがあり、市況にもはっきりそれが現れたが、昨年からは花束プレゼントさえ行われなくなっている。

今回のビジネスユースの明るい兆しは、広告、ファッション業界、そして相変わらず激しく働いてはいるが、オフィスでのちょっとした息抜きなどに再度花が使われるようになってきている点である。結婚式、葬式の需要は、ベビーブーマー、第2次ベビーブーマーなどのライフスタイル、考え方の影響を受け、今後とも厳しい状態が続くものと思われるが、ビジネスユース同様、ホームユースも最悪期を脱しつつあるようである。しかし、依然なべ底を這っていることは変わりない。

ここ数日暑さが続いているが、園芸の主品目の苗物が日保ちしなくなってきているし、切花でも洋花が日保ちしなくなってきている。しかも今年は過去2年間程々に良く売れた小菊の作付が多いので、デパートのお中元戦線の速報を見る限り、東京では浮上しつつも関西や地方都市が昨年とあまり変わらず。となると夏場の商況自体は品目によってデコボコはあるものの、おおよそ昨年並みと見ているが、いかがであろうか。

先進国の中で日本だけが7月盆、8月盆と物日があり、そこへ向けての取引が中心になっているが、本年の需要基盤からして日常的なホームユースに期待できる状況ではない。なんとなく不安を感じている国民は、日々ストレスが蓄積しており、まずは充実した夏休みを取ることに関心があるからである。

そうは言うものの、花き業界は消費者の最大の関心事である花持ちを、前年より向上させる商品作り、保冷流通を行い、花を夏でも習慣的に使ってくれている人達の期待に応える必要がある。


2000/07/03 磯村信夫