第2ステップ


 7月のお盆は小売商の期待値が低かったせいもあるが、予想に反しどこの店舗も良かったようである。だから昨日のセリは、大変活気を帯びたものになった。

小売状況から判断すると、花の消費意欲は最悪期を脱していることがこれで判る。消費者はスタンバイOKなのだが、小売店、仲卸、卸売会社がオーバーストアの数の調整を受けているので、卸売価格が低調であった昨年よりも、一割ほど安い状況が続いているわけだ。昨年を降り返ってみると...

消費者がガーデニング素材を買い、切花の支出を5%ほどだと思うが前年よりも手控えた。これによって小売店はロスが多くなり、利益が10〜20%少なくなったものと想像する。よって、卸売価格に下げ圧力が強まり、総じて15〜25%ほど単価は下落した。

卸売会社と生産者の収入源は、この売上にあるわけだから、中堅以下の卸売会社と生産者は、やっと利益が出たところ、赤字になったところなど、前年の半分ほどの利益になったものと推測される。そうなると、農業資材メーカーや種苗会社は、農家から物を買ってもらえなくなったり、卸売会社やトラックはコンピュータの刷新などをしなくなるので、総じて売上は半分になっているところもあると聞く。

全て消費者の変化から始まるのが、この“変化拡大の法則”だが、第2四半期初めの7月に浮かび上がってきたのが、業界の構造調整、特に流通業者の調整局面に本格的に突入したという事実である。その流通業者が健全であるかどうかの目安として、次の3つの指標を挙げたい。

1.販売数量が前年よりも多くなっているか
2.客数の伸びはどうか
3.その顧客の自社シェアは伸びているか

これが公表される数字から判断できる指標だが、1の販売数量は特に大切なポイントである。また、経営上のポイントとして買付比率、買付をマスクするために使われる可能性の高い予約相対比率、ここをチェックし、粗利益が中央市場で9.5%、地方市場で10%近くなっているかどうかを見ていくことが大切である。

来年4月から銀行のペイオフが始まるが、融資枠は極端に小さくなっているので、BS/PLを見ただけでは、その会社の価値を見損なう。商いの規模に関係なく、黒字だろうが赤字だろうが、キャッシュが回っていればその会社は付き合いに足る会社である。しかし、黒字だとしてもキャッシュ不足に陥ることは良くあるので、今後指標の捉え方を自社の経営指標まで含めて吟味し、方向性を決めていく必要がある。


2000/07/17 磯村信夫