今の花事情


 沖縄サミットが終わった。テレビや新聞で、バックにあった花のディスプレイをご覧になった読者の方も多かろうと思う。トロピカルなヘリコニアやら、ジンジャー、デンファレ、葉ものなどを使い、トロピカルアレンジとグリーンのアレンジを多用していた。“太陽の花”沖縄花き園芸農協殿が、ロジスティックスなどお手伝いし、東京のパークハイアットの花を担当する㈱エデュウスさんがアレンジをしたと聞いている。台風などに備えて、東京にも同じアレンジを飾ると言っていた。

夏にグリーンを主体にしたアレンジを始めたのは日本からで、今ではプロヴァンスでも大流行りになっている。しかしトロピカルなアレンジの流行は、日本ではようやく今年から本格化したと言ってよい。カリビアンのイメージで、ヘリコニアやレッドジンジャーが多く使われる。アンスリュームも欠かせない素材で、東京でもこの頃よく目にするようになったし、当社の市況を見ても、昨年より一割ほど価格が強い。

一般の小売商からは、夕方まで暑さで人手が絶えるので、レストランのように日中は「支度中」の札でも下げて昼寝をした方が良さそうだ、との声を聞くようになった。梅雨明け前に比べて、3割ほど需要が少なくなっているようだ。その中でオリエンタルハイブリッドユリの出荷が、高冷地中心にピークになってきている。カサブランカはじめ、従来の品種が多く、去年から出始めた系統(口が割れたらパっと咲かずに、テッポウユリのようにじわじわと咲くタイプ)が少ないので、価値あるものが安いため、もっと買いたいがロスになってしまう、と小売商を嘆かせている。

あともう一つ。今年はキク類もリンドウも8月盆の需要期に若干早いか、ドンぴしゃりと聞いているが、専門輸入商社各社から少しずつだがオランダ産スプレー菊の出荷が始まってきている。今から採算に合わなくとも、出荷を始め、当てにされる存在となっておこうと努力しておられるようだ。今年はサンティーニ(小型スプレーで、オランダスプレーの代表品種「レーガン」より丈が短いが、本数が切れる)の新品種が出回り、それなりに評価されそうである。話によると、オランダの業者は栽培委託を受付けており、100日前の受注であれば、確実に納品するとしている。夏の7,8,9月に大きな需要があるのは、G8の中で日本だけ。それ以外の国はバカンスシーズンで花の価格は下がる。日本に向け、今年は新しい切花栽培委託を請負うと業者に呼びかけるなど、オランダの生産者は先を行っている。オランダから学ぶべきことは多い。


2000/07/24 磯村信夫