花店の分水嶺来る


このごろ経済誌を見ていると、新しいタイプの花専門店が躍進中との記事をよく目にする。これはドトールコーヒーに始まった「ほっとするひととき」や「楽しい気分」をサービスするコーヒーチェーンが次々と出て生きて、スターバックスコーヒーやシアトルコーヒーなどいずれも競争の中で棲み分け発展している。その流れで楽しいおしゃれな雰囲気を醸し出す花のチェーン店に対してジャーナリストの勘のようなものが働き、記事に取り上げているのだろう。

アメリカでも大規模な量販店から専門店の集合体である商店街(ショッピングモール)や良質の物を扱うスーパーマーケットが支持され始めて2,3年経つが、日本でもデパートの食品売場が盛況なのは、義務として食料品を買うのではなく食べることが楽しくなるような品揃えや演出がしてあるからである。これは自己の効率を突き詰めてきたスーパーマーケットなどと相反するものと消費者は感じているようで、日本のスーパーもどのように買う楽しさを演出するか考えなければなるまい。

さて、花のチェーン店が注目されているのは、花が生活を楽しくする小道具であり、また花を買うことが楽しいということもあり、おしゃれな生活をしたいと思わず買ってしまうわけで、いずれも家庭需要である。チェーン店は絶えず楽しい商品企画やら店の雰囲気作りをしているが、既存の専門店では(他業界では考えられないことだろうが)、3年毎乃至5年毎に店舗を改装しているという店を小生は殆ど知らない。消費者の目はおしゃれで花保ちの良い店に集まってきている。そこで小売店は是非とも自店のおしゃれ度と花保ち度をチェックし顧客の維持と確保に努めて欲しい。




2001/09/17 磯村信夫