本の紹介『常識の世界地図』


文芸新書の新刊『常識の世界地図』という本を読んでいたら、世界の常識と日本の常識が違っている事が多くあり、大変面白かった。例えば、アメリカのプロ野球でイチローや新庄がビィーンボールを食らったのはなぜなのかわからなかった。しかしこの本では「1783年にイギリスから独立を承認され開拓時代が始まったアメリカでは、野球は国の歩みと共にあった。日本でもしばしば勝負ごとは武士道に通じるものとして語られることもあるが、アメリカ人にとってもの野球は開拓時代の銃をバットとボールに持ち替えただけで、決闘の精神そのものだという。」と説明している。またプレーヤーとしてしなくてはならないのは「乱闘に参加すること。味方を見捨てないこと。」といっている。昨日の政治番組を見ていると、野党はこのことを知った上で発言しているのか、知らずに今までの日本人の発想で発言しているのか、番組を見ていて面白かった。

同様に花についてもこの本に書かれていた。ヨーロッパやラテンアメリカでは贈り物に適さない花として一般に紫や白い花が挙げられ、白いユリ、カラー、菊やマリーゴールド、ダリアは葬式の花とされている。また黄色い花は侮蔑・不貞を表す花として嫌う地域も多い。赤いバラはほぼ世界中で愛情を表わす花とされているので、贈る相手を間違えてはいけないとしている。無難な花の選び方として、我々にこのように忠告してくれているが、第二次世界大戦後に起こった潮流として既成概念を葬り去ることがある。服の色を見ても解かる通り、「ハレ」の代表色である黒をカジュアルな衣料に使い、国境を超えてすっかり定着した感がある。新聞によると黄赤をこよなく愛す中国でも、純白のウェディングドレスが人気となっているとのこと。

日本を除いて殆どの国は宗教に根差した生活をしているから、やはりこの本の語るように海外の友人には無難なフラワーギフトをしておいた方がいいということであろうか。




2001/10/01 磯村信夫