専門店の強味


花き小売業界ではこのように不景気風が吹く中でも、他業界と比較し専門店は意気盛んである。花の小売業界では質を重視した新しい花との生活を提案するフローリスト/ガーデンセンターと家の内外に花と緑の資材を供給するホームセンター、花の買い物コストを削減しようとする量販店、買い物時間を削減するカタログ販売やコンビニ、インターネットショップなどがある。ニューエコノミーの本質は素材や料理人の腕だけではなく、レシピそのものが価値を生むようになった経済を言うが、創意工夫に富んだ花の専門店は、アレンジ技術を駆使し、切花・鉢物とも新しい感覚で消費者の心を捉えている。平常時には75%以上のシェアを持つ専門店の花き販売が、物日になるとシェアを落とすのは例えば松と千両等の定番の組み合わせのままで商品化してしまう為であろう。確かに歳時の花は消費者のイメージの中で定番化されているので、松と千両さえ入っていれば安い方が良いと思われてしまう。そこでこの年末こそ専門店はこれは新しいレシピを考え出す自店のオリジナリティの工夫をして、お客様を進化させて欲しい。

昨日、ボジョレ・ヌーボーを値段2,000円から2,300円と限定し、銀座と大森の専門店・デパート・近所の酒店・酒のディスカウンターで買い求めた。冷やして飲むと特性が出ないので、常温で飲んだが差は歴然としていた。銀座の店は大変割安であった。多分、近所の酒屋にしてもディスカウンターにしても商品知識のある社員がいれば、銀座の店の半分の価値のものを売るという愚はしないですんだのに、それをしてしまったのは知識が商売になるという知識社会(知価社会)であることを認識していない為であろう。アメリカが95年以降専門店の時代と言われ、ホームセンターでもホームデポの競争優位が目立ってきたのは、いずれもヒューマンウェアの大切さと専門知識が物やサービスを商う場合必要不可欠な条件となっていることを示している。

花はたくさんの品種が出回りそれぞれ品種特性があるから、専門店では価格表示の際に品種名も記載することが必要であり、それがフローリストやガーデンセンターの競争力を維持し発展させることに繋がると思う。

P.S.弊社の社員銅金裕司が12月1日から来年の2月11日までお台場の日本科学未来館で開催される「ロボット・ミーム展」に出展します。ロボットを21世紀のメディアとして捉え、人と知能機械の新しいインターフェイスを提案します。銅金の作品はランの知性をロボットで調べてみようというものです。
http://www.miraikan.jst.go.jp




2001/11/19 磯村信夫