十字の連帯


昨日久し振りに日本の経済の今後を考えてみた。

結論は株価が示すように、日本は来年も景気の好転は望み薄と思われる。また、2003年の景気浮上説も翌年に持ち越す可能性が高いと思われる。

その理由として、日本の経済政策は" STOP & GO"そのもので、少し良くなると政府は財政再建にすぐ手を染めてしまうからだ。少なくともマスコミは構造改革論者であり、時代の先を読むマスコミがそうであるから、現在の経済実態から目をそらし、未来に賭けてしまうことが多すぎる。政府の経済政策が軌道に乗ったことを確認できた時点からでも構造改革、とりわけ不良債権処理などは遅くないのではないかと思われる。しかしこと経済に関しては現実にはそれと反対の施策が打たれている。

デフレは益々進行せざるを得ないと思う。なぜなら各組織は職を確保する為、賃金水準を下げようとしているからだ。ついこの間までは総賃金を下げる為にリストラを行ってきたが、リストラを既に行った企業ほど、賃金水準を下げる意向が強い。この考え方は日本の風土に合っている為、あらゆる企業が賃金水準の低下方向に行く可能性が強い。そうなると消費者の総懐具合は悪くなるので、より安くないと買えないという人が多くなる。あまりお金に不自由しない人は、良いものが本当に安くなってしまうから値ごろ感のあるボリュームゾーンより少し上を買えば、かなりの本物を手にすることができる。

これを花の商売に置き換えると、どこの企業も生産性の向上から20,30歳代の社員には前年より下回る給与を支給するはずがないので、若者に受ける花を生産販売している産地や小売店はやりようによって伸びが期待できる。しかし、この世代の人達はマスコミ、口コミなど消費者に直接訴える努力をしないと振り向いてくれないから、今まで以上に販売促進の努力が欠かせない。

取引の現場では花の種苗費が高いので、利益が出ていない産地も少なくないと想定されるが、再生産価格を思ってばかりいて、その産地の上得意の人が値段で他の産地と結び付いてしまうようなことは避けなければならない。卸・仲卸は産地に納得行く説明をし、得意先の要望を踏まえた価格設定を産地と共にする必要がある。まず、価格有りきの状況は少なくとも来年度まで続き、デフレの中ではいかに特定小売店・消費者との糸が繋がっているかを一義に考えるべきである。デフレは淘汰を意味し、小生の言う十字の連帯、則ち同業者同士の横の連帯と種苗・産地・卸・仲卸・小売りという商売上の縦の連帯がしっかりしているところが生き残ると思われる。




2001/11/26 磯村信夫