安定性


新宮様の御誕生おめでとうございます。 打算を出しては不謹慎だが、これで相場も昨年並の水準に戻るものと思われる。

産地に出向くと、バブル崩壊後設備投資を実行し、返済を急いでいる生産者が多いか、大きな設備投資をせず借金がない生産者が多いかによって産地の取り組み姿勢がはっきり異なっているのが実感される。先週の土曜日、これから2,3年の対応策を討議する為に、スキーで長くお世話になっている福島県猪苗代に出向いた。

大変勇気付けられたのは、「俺たち農家は自給自足できる。都会の中高年のサラリーマンを思えば本当に恵まれている。」という力強い言葉であった。ご高齢の方は戦争前後のことをよく覚えており、その時の体験を覚悟の礎にしているようだったし、戦中戦後に生まれた人達もそれなりに腹が座っていて、大変頼もしい限りであった。こういう人達が多くいる産地は、中長期的な見方ができ、良識を働かせて一緒に対応策を練ることができる。

しかし、一方には負債を抱え目先の対応策に議論が終始する産地も多い。中には生活の質を落とし耐乏する覚悟ができていない人がいる産地もあり、共に議論する気さえ失せてしまう。

21世紀最初の10年のキーワードは「安定」である。財務体質の安定性と収益構造の安定性によってその安定度は決まる。リストラは何も新聞紙上だけのことではなく、日本で生きる誰もが個人生活まで含め、解決しなければならない課題なのである。




2001/12/03 磯村信夫