松市他


今日はまず都内の中央市場花き部で一斉に開催された松市の話から。結果として量が多くても少なくても一割減の販売額になった模様。他市場では量を多く入荷させたものの、荷主さんが愛想を尽かすような相場だったところもあると聞く。大田花きの松市を見ていて感じたのは、次の2点。
1. 日頃の売れ行きから、20歳代・30歳代の顧客にターゲットを絞り、グリーンとして松を使おうとする傾向が益々強まってきているということである。
2. 日本の伝統を理解し、プロが作った松を評価する買参人やその後ろにいる消費者が本当に少なくなっているということ。

今年は9月11日のアメリカ同時多発テロの影響でおせち料理の売れ行きがいいと聞くが、花の需要についてはぱっとしない現状である。この時期としては異例の単価安(前年比3割安)が、需要期の鉢物類や切花において続いている。このところ、消費者が欲しい時期と要らない時期が極端になってきているから、いよいよ年末間際になってからでないと暮れ相場は出ないと予測される。

次に与信管理だが、大田市場にある東京食品信用組合が先月破綻した。貸倒引当金の積増しで資本準備金を取り崩さざるを得ず、BIS規制の自己資本比率4%を割り込んだ為である。興産信用金庫が業務を引き継ぐので今でも通常通り営業しており、なんら業務に差し障りないが、来年4月のペイオフを睨んで預金の移動が行われるものと思われる。

買参人の殆どが信用金庫や信用組合のうちの一社と付き合っており、年末の資金手当てが難しくなっていると聞く。現に従来からルーズとも思える支払いをしてきたところはこのまま存続していくことが難しくなりつつあり、買掛け先から一斉に集金を迫られると、年が越せない可能性が出てくる。

柳澤大臣の方針の通り、いかなることがあろうとも来年の3月末までには不良債権処理をしなければならないが、年末に処理すると消費マインドがより一層冷え込む可能性があり、この処理が年を越すところもあるかと思われる。一般的な見方は世間で問題になっている過剰債務の30社余りの処理と同様、花き業界の処理は1月以降になされるのではないか。




2001/12/10 磯村信夫