12月の市況


今日は本年最後の私からのコメントです。1年ご愛読頂きまして、ありがとうございました。来年もまたよろしくお願い致します。

1年を振り返り、9月11日のテロ前とテロ後で花の市況は様変わりした。12月が端的にその傾向を示した。不況の波をもろにかぶり、12月初旬にはポインセチアやシクラメンの商況が例年より3割から4割下がった。鉢物類は盛り上がりを見せることなく12月第2・3週を終え、暮れのピークを越えた。切花類においても松や千両は昨年より2割から3割の安値で推移した。特に玄人好みの根引き松やよく締まった千両が安値に泣いた。本日よりいよいよ年末の切花類の仕入れとなったが、先週仕入れを起こすはずの地方都市、とりわけ北国では相場が出ず、仲卸は集散機能を発揮できずにいた。そして本日から本格的な転送需要と量販店向け花束加工業者の仕入れとなったが、一都六県の専門店の仕込みは絶対量が不足していると思われる花のみに集中し、潤沢感が漂う中、菊類は3〜4割安、小菊は赤を除き同様に3〜4割安で推移した。

ここ2,3年の特徴として「前進開花に高値なし」の傾向がよく表われている。切花も鉢物も前進開花気味であると潤沢感が漂い、計画仕入れをしている大規模小売店や花束加工業者は仕入れを後にずらす。産地は需要期に合わせてくるが、潤沢感が漂っているので一般小売は更に見送る。そうこうしているうちに、相場が出ないまま物日を終えてしまう可能性がある。9月以降このパターンが続いている。それに加え、お歳暮・クリスマスの動きが今ひとつであったので、年末は売れることが分かっていても仕入れを起こすきっかけがなかなか掴めないでいる。

「前進開花」以外に「消費層の若返り」現象がある。65歳以上の富裕層の花の消費は従来通りだが、中年層が特にいけない。9月11日のテロ以降目立つのは20〜30歳代の花の消費者たちで、結局彼女たちの好みと価格帯に合わせた売れ筋を販売せざるを得なくなっている。従って昨年とは違う品目や等階級が売れ筋となっている、オシャレで丈があまり長くないものの動きが良いのもこのためだ。

この年末、天候にさえ恵まれれば小売店はしっかり販売できるであろうから、買い気は昨年より悪くなることはなく、1月以降も低調市況が続くとは考えにくい。

しかし、最悪を考えておくのが経営というものである。ペイオフやら公共事業の削減、更に大型倒産など来年前半までは不安にさせる事が数多くあると考えて、自社のコスト削減や生産性向上などの自助努力を本格化させる必要があろう。花の場合小売価格はまだデフレに触れている。




2001/12/24 磯村信夫