利は義の和


明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願い申し上げます。

さて、昨年末「忠恕」を幸田露伴がどのように体得していたか、我々は東洋思想の中で「競争」をどのように位置付け、仕事をしていったら良いのか考えることを年末年始の小生の課題にしていることを述べました。

愚鈍な身故、それなりにしか考えが及びませんでしたが、一応の考えがまとまりつつありますので、途中経過ですがお知らせします。

荘子に「天下に大戒二あり。その一は命なり。その一は義なり。」と言われています。「命」は自然と人間とに通ずる創造や変化の動きのことであり、「義」はその命に従って「我如何に為すべきや」と言うことを考え行動することです。「忠」「恕」は一言で言うと宇宙の根本であり、人間にとって欠かせない「仁」であると言われておりますが、「仁」を以ってして競争に利するということは、自ら利する土俵を「仁」により限定しなければなりません。結論は儒教にあるように「利は義の和」であり、「義は利の本である」ということです。もし、あらゆる物財を利を求める為の手段とするならば、「利に放って(欲しいままに)行えば、怨多し」となります。

今風に言うのなら、中長期的に見たソリューションビジネスをすることによってのみ競争し利を得ることが現世で許される競争の仕方であり、利を求むる行為であると思われます。物事は見る角度から様々な解釈ができますが、「義は利の本」であることを戒めとして競争していくことこそ「命」に沿った会社や個人の生き方であろうと思います。




2002/01/07 磯村信夫