ラーメン屋から学ぶ


昨日関東東海花の展覧会を見に行った。11時半頃までだったので、もう少し遅くまで開場していれば一般の人達ももっとたくさん来てくれて、評価眼を養ってもらえるのにと思った。各所で花展が開かれるようになったから、花のイベントはそんなに珍しいことではないが、商品の完成度はやはり関東東海花の展覧会が一番高い。そこで、完成度の高い商品をどのように活かし流通させていくかだが、専門店が頑張っている業種にラーメン屋がある。これを例に引き、今後為すべきことをお話しよう。

一時、ラーメン屋もチェーン店が真っ盛りであったが、今はスープや麺にこだわるラーメン屋が出てきた。取材費が安いものだからTVなどでも特集されすっかり専門店の仕事になった。だから値段は決して安くない。あれだけの味を出すためには安いはずがない。

今花店は不景気だから利幅を落とさざるを得ない。利益は利幅と商品回転率によって決まるから、商品回転率が高い店が元気だ。個店で商品回転率を高めようとするところもあれば、人通りの多いところに出店し、チェーン化しようとするところもある。花き業界ではようやくチェーン展開をしようとする企業が出てきた段階だ。そうなると、多店舗展開している量販店も当然花売場に力を入れ出す。

それでは花店はラーメン屋のように個性豊かにアピールできるであろうか。今、花店を見ていると、これは仲卸についても言えることだが、看板さえ書き換えればどの店も似たり寄ったりの店が多い。「最寄り品」の花を扱うことは半径500メートル以内の住人には意義があることだが、専門店は「買回り品」を扱わなければならない。そうなると当然ライフスタイルに合わせるかライフオケージョン(人生の通過儀式)に合わせて商品を絞り込む以外に手はない。大切なのは、何を置くかではなく何を置かないかであって、今産業界で言われている通り、選択と集中をしなければならないのだ。既に当社では4年前からFセリ台とGセリ台を使って減農薬・無農薬の花や他に出ていない品目・品種、2,3年後に主流になる品種などをセリ販売しているが、地域の同業他社に取引先が負けないように応援するだけでなく、「買回り品」をアピールすることによりわざわざ遠くからでもお客様に来てもらうための店作りをして欲しいと思っているのだ。専門店にとってのポイントは、オリジナルな花を栽培委託した中から見つけ出し、差別化を図ることができるかどうかである。しかし、絶えず新しい品種を自分が絞った顧客ターゲットに合わせて提供することはそんなに難しくない。口コミを大切にし、ラーメン屋を見習って本来の専門店が消費者から期待される花店作りを行って欲しい。




2002/02/04 磯村信夫