花の景気回復の見通し


個人消費が振るわないと小売店はぼやいているが、消費者は雑誌などで学習し、ここのところ随分と拘りを持った花の注文が増えてきている。例えばバラは本当に多様化してきた。このイングリッシュローズ−オールドローズの血を引き、香りの良い一輪仕立てのバラをイングリッシュローズという−をブーケに使いたい、イングリッシュローズだけでパーティのテーブルデコレーションをしたいというような要望が出てきた。日本のバラ(切花)は、アメリカと同じように高芯剣弁のバラが人気であったが、最近ではセンターが3つあったり、ボタンや乙女椿のように咲いたりする物も人気が出てきた。これはバラがあらゆる年代層に強く支持をされており、いわゆる個人消費が活発であるということだ。

経済に話を移すと、日本の景気が浮上するためには、個人消費・設備投資・輸出のうちどれかが活発になり、それをきっかけにしていくのだが、現在のところ円は幾分戻したものの、輸入競争力が高まったといえる段階ではない。GDEに占める割合が最も高い個人消費はアメリカとこの東アジアでは全く異なり、個人消費がきっかけになるということはない。東アジア、とりわけ日本の場合、奥さん方は最初に予定貯金額を収入から確保する。次いで残りを支出に回す。いくら金利がゼロだろうとも、その習慣は変えない。だから、所得が下がったとすると消費はより冷え込むことになる。また、設備投資といっても国内で活発になるとはなかなか思えない。借金を返したり、同じ設備投資をするなら海外でしようと考えていたりする。だからデフレになっている。これが今の日本だ。花の消費を拡大しようとする時、普段から花を買わない人に花を販売するのは非常に難しい時代であるということだ。消費拡大するためには、普段から花を買っているヘビーユーザーの方達にもっと買ってもらうことと、比較的深刻に貯金を考えていない20歳代、30歳代の方達の衝動買いを期待する以外には今年もまた方策はない。しかし、株価が示す通り、景気には明るい見通しが出てきた。花は家計が潤い始めてから早くて3ヶ月、一般には半年後に流れが良くなるから、花の景気回復は来年以降に期待したいところである。




2002/03/11 磯村信夫