地産地消


この頃産地会議や地方市場の開場祝いなどに伺うと、「地産地消」という言葉を度々耳にするようになった。トータルコストからして「地産地消」は好ましいことである。そしてグローバルエコノミーの観点からも当然しなければならないことである。地域の産物はその地域で消費され、そして余剰のものをそれ以外の地域に出荷し利益を得るのが、理であるのは当然のことだ。但し、地域で採れた物も、適切に評価されない場合、ニーズのある他の地域へ出荷するのも当然のことである。

この地産地消をグローバルエコノミーの中で捉えるのか、それとも相変わらず日本の国内だけの視点で考えるのか、この考え方の差は大きい。1980年代ウォールマートやGAPが大躍進するきっかけを作ったのは、この地産地消である。当時の日本、そしてニュードラゴン(台湾・香港・シンガポール・韓国)からの輸入品に押され、更に90年代に入っては、ラテンアメリカからの農産物の脅威に晒され、バイ・アメリカン(buy American)をひとつのキーワードに地産地消を強力に推し進めた。農業だけでなく、メイド・イン・USAに価格競争力や品質などの自信が揺らいでいた時、このバイ・アメリカン運動が起きていたのである。

GEの前CEOのジャック・ウェルチがテレビを製造するのを止めたのは、店頭価格がGEの製造原価より安く、また品質も優れている日本製を見てのことだった。GEは選択と集中で、世界でナンバー2に入ることのできない事業をどんどん売却して、強さをより高めたが、これからの日本も産業界は当然選択と集中をせざるを得ない。

生鮮食料品業界は地産地消を再度グローバルエコノミーの中で、位置づけなければならない。まずはコストの面から、次いで差別化の面からである。この両面から輸入産品との競争優位を考えなければならないのである。




2002/03/25 磯村信夫