1年遅れて花き業界の倒産増える


 昨日、4月21日は亡くなった父の祥月命日だった。雨だったのでお墓に行くのは止めて、池上の実家で仏壇に線香を立てた。そして母と昔のことをいろいろ話した。

かつて、荷主さんへのお支払いは請求をいただく度に行っていた(「請求払い」)。しかし、荷主さんが増えていくにつれ事務手続きを簡略化する必要が出てきた。そこで、千葉県和田浦町の川名惣兵衛さんと父が苦労して「限定払い」というシステムを構築した。これは生産者の方が農協と契約し、卸売会社は月に2回締めて締め後20日以内に農協に支払うというもので、個人生産者の多くがこのシステムを利用なさっている。 現在では都内の中央卸売市場で取り扱っている切花の70%近くを農協名を出荷者名とする共選共販品が占めるようになっているが、それ以外のほとんどが「限定払い」を利用してらっしゃる個人生産者の方々が出荷したものである。

このように、生産者の方への卸売会社からの支払についての整備を進めてきたのだが、昨年あたりから度々輸入商社などから他の花市場に対する与信についてのお問い合わせがあったり、種苗会社から代金支払が遅れている生産者に対する与信について尋ねられたりしている。景気が悪いとはこういうことなのであろうが、代金決済については日本の花き産業においても動脈硬化を起こしているところが目立ってきた。ボトルネックは小売店から仲卸や卸売会社への代金決済が期日通りに行われていないことにある。その原因として考えられるのは、ウォールマートやメトロが日本へ進出してくることでも解るように、小売店のグローバリゼーションとそれに伴う日本の小売店業界の構造改革、そしてマネジメント・スキルが劣る花き小売店が淘汰の波に晒されている現況がある。

今後は金融機関からの輸血も期待できない。決済は厳格に期限を守るという当たり前の取引ルールが徹底され、花き業界においても倒産が増えていくと想定される。




2002/04/22 磯村信夫