とある卸売会社の復活


石原慎太郎氏が都知事に就任して以来、東京都の職員は「東京都から日本を変える」との気概を持つようになった。マスメディアで評論家の弁を見聞きするに、このことが石原都知事の最も大きい功績だと評価していい。

日本で最も取り扱い規模が小さい中央卸売市場の卸売会社の話になるが、ここ4年間奮闘努力し、累損を一掃して、わずかだが税金を納めるまで体質改善された。体質改善のおおもとは、結局、恥を知り、現実を受け入れ、精進するといった気概を社員が持ったことである。

上杉鷹山は、米沢藩を立て直した中興の祖と言われるが、組織の大小に関わらず、組織が復活するためには、誠心誠意の行動が欠かせない。「誠」という漢字は「言」と「成」との結合によって出来ているから、思ったり言ったりしたことをひたむきに実行していくことが大切なのである。この卸売会社をみていると、大変素晴らしい会社になりつつあり、教えられることが多い。孔子がその著『中庸』の中で、「誠実」を神聖視しているが、この卸売会社が誠実に尽くしたことが実社会でも受け入れられ、その結果として、売上増や利益増となっていることがわかる。誠実な行動は、まさに会社の寿命30年で、この世からなくなろうとしていたこの卸売会社を救い、超越的な力があることを示した。(「この世のあらゆるものは、誠に始まり誠に終わる。」)

会社の寿命30年とは、100年で3世代、1世代の中でも浮き沈みがあるのだが、次の後継者に上手くバトンタッチするために優れた中継ぎの番頭格の人やら経営者が存在しなければならない。神奈川県園芸も、このような法則に従って、人員配置が出来たことが誠実な行動とともに良き会社になり得た理由である。




2002/05/06 磯村信夫