仕入れ先にも与信が必要となる


当社もリスクに対する考え方を学ばなければいけないと思い、マイアミで花の商売をしている友人に尋ねると、「そうか、うちではこういうふうにやっている」と色々なことを教えてくれた。彼はアメリカの小売業売上ナンバー2のクローガーというスーパーマーケット直営の花売場を確立した男で、現在は花のインターネット販売、B2C、B2Bとコンサルト業務、並びに花束加工をしている。「仕入先はコロンビアやエクアドルを中心に、メキシコ、ここマイアミ、そしてカリフォルニア州だ。事前に提案をし、販売、いわゆる日本でいう情報売りをしているから、仕入先から約束通り品物が入るようにしなければならない。その為には、花の品質も勿論だが、マーケット品質として納品力のチェックをし、そしてできれば四半期(3ヶ月)毎の貸借対照表や損益計算表を入手し、財務状況をチェックしている。これにより例えばエクアドルのバラの生産者のように、ロシアが債務不履行になって、自分の客先がつぶれ、結局農場もつぶれて、尻拭いをしなくてはならないということがないようにする」という。

日本も経済の根幹である金融システムがうまくいっていないから、いまのところ花き業界も卸や仲卸は売り先だけの与信を真剣になって考え始めたところだ。しかし、商売は入れて出すのだから、仕入先の与信をしっかりしておかなければ自分の信用問題になりかねない。仕入先の納品力といわれるマーケット品質を問題視すると同時に、その産地の財務力が今後最も重要な取引要件となってくる。個々の生産者や農協・花き部会の財務体質は磐石なものになっているであろうか。

eプラットホームによる仕入れを日本でも大手業者が断念することが多いのは、たとえばある業者から提案があったとしてもその業者が継続して取引きする相手かどうか、与信調査に時間がかかりすぎるからである。一般的には、販売先にも仕入先にも十二分な与信調査をして、商行為を行う。花や生鮮食料品流通も、必ず近い将来この信用に基づいた取引が当たり前の状態になる。これがグローバリゼーションの中での商行為の基本だからである。




2002/06/10 磯村信夫